Short-Lived Musings

つかの間の物思い

総務省放送法文書メモ

ゆっくり考えをまとめる暇なくて悲しい……来週の土曜あたり、まとまった時間取れるのではないかと期待している。その時加筆したい。

 

000866745.pdf

https://www.soumu.go.jp/main_content/000866745.pdf

 

立民・小西氏「放送法を私物化」 政治的公平性巡り、内部文書公表:時事ドットコム

www.jiji.com

 

この文書を読んだ感想

  • いきなり本件と関係ない些末なことで申し訳ないが、「磯」と「礒」は異体字同士とかではない違う字だと思うが、前半「磯崎」と書かれている。今の磯崎官房副長官がとばっちりを受けそう。現代ビジネスと共同通信は同記事内で表記ゆれというか、誤字していた。
  • 一貫して礒崎元補佐官側が期待する答えを引き出そうとしているように映る。不誠実ではないか。
  • でも結局国民にはっきりわかる形で報道が変質しなかったこと(実は変質しているかもしれない)、そして宏池会政権下かつ安倍元首相亡き今、自民保守派の影響力が大きくそがれていることが世間を安心させている節がある。
  • やり取りを見るに総務省的には礒崎元首相補佐官に恨みがありそうだが、なぜか高市大臣が今国会で自信ありげな大げさな態度を取った。放送法の解釈をめぐる攻防はもちろんのこと、パワハラ気質の礒崎元補佐官に振り回されたことに対する、我慢ならない不満も総務省内でたまっていたのではないか。高市大臣はむしろ、特に前半は、慎重そうに映った。社会部記者にハラスメント被害者からの事件ネタ提供があるのと本質的には変わらない気がする(今回は野党議員だったが)。
  • 本件と関係ないことだが、発信メディアとしての影響力は今やYouTubeTwitterもかなり強く、素人がやっている、法の手が届かない領域で、まさに政治的に偏りまくった主張がなされ、皆が自分に都合のいいものだけを参照している状態。そう考えると「政治的公平性」ってやはり大事な概念であり、そこを確定させたい礒崎元補佐官の気も(その方向性にはまったく賛同しないが)わかる。
  • 「抜け穴が広がる」という言葉を官邸の人間が使っている時点で、放送法の趣旨に反すると思う。放送法制定の趣旨を考えれば、なるべく抜け穴は広い方がいいので。
  • まっとうな感覚の官僚としては容認しがたいものだっただろう。特に国会質問で極端な事例の例示をどちらから切り出すかのところ、涙なしには読めない。
  • 高市出てきてから特に生々しい。
  • 当時のメディア側の記録を見られれば、いつ何時に誰が官邸に入ったかとかわかりそうなものだが。
  • 山田秘書官の存在が救いだが、彼女も彼女で、なかなか策士。「自分(山田秘書官)の担当(メディア担当)の立場でいえば、総理はよくテレビに取り上げてもらっており、せっかく上手くいっているものを民主党岡田代表の出演時間が足りない等と言い出したら困る。民主党だけでなく、どこのメディアも(政治的公平が確保されているか検証する意味で)総理が出演している時間を計り出すのではないか。」
  • 放送法というと、どうしても選挙のことが想定されがちだが(安倍元首相銃撃の際、選挙期間中であり、現場には自民党の旗が立っていたが、一部報道ではモザイクが掛けられていた)、昭和39年の答弁は選挙がらみじゃなかったことを知った。
  • 一部で「東大法学部卒の頭のいい官僚たちがあんな強権的な政治家からいいようにこき使われているのがかわいそう」みたいな意見あったが、それは若干ダウトで、礒崎元補佐官もまた東大法学部卒。つまり学歴は関係ない。よって正しくは「まともな人たちがあんなまともじゃないやつからいいようにこき使われているのがかわいそう」となり、これは家庭や企業、果てはサークルまで、人の集まるあらゆる場面で見られる光景である。もちろん悪しきことには変わりない。
  • 礒崎「番記者にもいろいろ言っているが、総務省もウォッチしておかなきゃだめだろう」。担当記者がここで問題意識を持つべきだった。そして彼ら彼女らが総務委員会もカバーしていれば、リアルタイムでこの問題を大きく報じられたかもしれない。総務省は業界の反発を恐れていたが、委員会後に「報道は見受けられない」とか書かれている。メディアが完全になめられている。
  • こういうとき首相動静を確認すれば、少なくとも2015年3月5日16時5分に誰とも会っていない=官邸内で秘書官・補佐官とやりとりしていたのではないかとか推察できると思うがどうなんだろう。
  • 民事訴訟法では228条2項3項で「文書は、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認めるべきときは、真正に成立した公文書と推定する。」「公文書の成立の真否について疑いがあるときは、裁判所は、職権で、当該官庁又は公署に照会をすることができる。」とある。行政文書は公文書の一種なので(公文書保存法に定義規定あり。でもここらへんの認識、やや自信ない)、真正なものと推定され、捏造を主張する側が真正性を覆す必要がある。一社長の電子メールが争点となった堀江メール問題とはわけが違う。
  • あくまで推測だが、捏造でこれだけ詳細な記録を作るのは無理があると思う。そして、総務省には捏造する理由がない。だから私は捏造ではないと思った。

 

ここ数日の主な動き

 

総務省が検証結果の途中報告を出した。
000867909.pdf

https://www.soumu.go.jp/main_content/000867909.pdf

 

日刊ゲンダイだが、更迭について言及。
高市早苗氏に「更迭」浮上! 謝罪はしても辞職拒否、火ダルマ必至の岸田首相が決断も|日刊ゲンダイDIGITAL

www.nikkan-gendai.com

 

高市大臣がTwitterで答弁釈明。今のところ総務省高市大臣側では、前者の方が説得力が(論理というより態度において)ある。

高市早苗氏「日本語が乱れた」 ツイッターで礒崎氏めぐる答弁を釈明 [岸田政権] [自民] [放送法めぐる内部文書問題]:朝日新聞デジタル

www.asahi.com

 

海の向こうでも似たような問題が。自局のいざこざを正直に報じているあたりさすがBBCだが、Twitterの内容まで不偏公平原則の対象になるのは、日本よりきつい。
BBCリネカー氏に番組司会を一時降板させる 政府批判が不偏公平違反と問題視され - BBCニュース

www.bbc.com