皐月賞とマクシミン戦略
皐月賞を見てきた。
「生」の激しい緊迫感に我を忘れたね。場所もかなり良かった。ウマ娘血統に2100円賭けて1400円しか返ってこなかったけど。でも1着ソールオリエンス(父がキタサンブラック)と2着タスティエーラ(父がサトノクラウン、母の父がマンハッタンカフェ)を買っていたので初競馬としては良い記念になった。
もし儲けようと思ったらどう賭ければよかったのか。必勝法がないことはわかっているが、少しは良い結果を出せる方法はないものか。
もっというと、馬の分析は難しいし、誰の言うことを聞けばいいのかわからないので、オッズを眺めるだけであわよくば勝てるような方法はないだろうか。
ある。オッズ理論だ。
たとえば3番人気以内にいい具合に分配して単勝を買い、どれが勝っても黒字になるようにするとか。
予算を1万円とし、今回の皐月賞の直前オッズを参考に組んでみよう。
1番人気は7番。単勝オッズが3.8。これを単勝4300円分買う。もし勝ったら1万6340円になる。
2番人気は1番。単勝オッズは5.2。これを単勝3100円分買う。もし勝ったら1万6120円になる(ちなみに現実はこれ)。
3番人気は15番。単勝オッズは6.3。これを単勝2600円分買う。もし勝ったら1万6380円になる。
私は1万円分馬券を買っている。3頭の中で最も払い戻しが少なくなるのは1万6120円の1番である。しかしそれでも6120円の黒字なのだ。(この6120円という値は、予算1万円をこのように賭けるときの最大値である。)
もちろん1~3番人気の馬が必ず勝つとは限らない。過去10年の皐月賞を調べると1~3番人気が勝ったのは10年中6年だ。これを高確率と見るか低確率と見るか……
なおこれらの数値(「1~3番人気」や「単勝○○円分」)をどうやって見つけるかというと、Excelでできる(1~3番を対象にした積極的な必然性はないが、消極的な基準はある)。プログラミングができる人はもっともっと凝ったこともできるだろう。
ちなみにこのような「最悪のケースが最もマシになる」場合*1を選択する考え方をマクシミン戦略と呼び、ボードゲームのメカニズムなどにも時々登場する。この考え方を各人間間の裕福さに適用したのがロールズの格差原理だ。つまり最も恵まれない人に注目し、そういう人になるべくマシな生活を送らせるためには(形式的な)不平等が許されるという考え方だ。累進課税の根拠になっている。私は友達と遊ぶ場所を決めるときにもなるべくこの考え方を採用したいと思っている。つまり最も来るのに時間がかかる人の移動時間が最短になるような駅で待ち合わせるのだ。「集まるなう」というサイトがこの方式を採用している。
*1:厳密に言えば今回「最悪のケース」は4番人気以下の馬が勝って1万円丸々するケースである